仏教の瞑想「九次第定」の極意

 大般若波羅蜜多経に9段階の瞑想がある。どうすると体験できるだろう。特に,空無辺処,識無辺所,無所有所にどうすると到達できるのだろうか。これは仏陀がした瞑想とは異なる。後世,経典を著した者が最も仏陀の瞑想に近いものとして,当時の瞑想の中から選んだものだろう。根拠として,こんなに特殊な瞑想が古代に開発されたとは思えない。要は,最も古い仏典にこの似た瞑想をしたという記録がない。

 九次第定とは
 仏教の特有の瞑想だ。仏陀の瞑想に最も近いものとされる。通常の瞑想と異なる。初禅,二禅,三禅,四禅,空無辺処,識無辺処,無所有処,非想非非想処,滅受想の9つの段階からなる。欲界,色界,無色界からなる。

 どういう瞑想か?
 残念ながら,日本にこの瞑想は伝わってない。この瞑想の解説本は皆無だ。この瞑想は,そのノウハウが継承された海外の密教寺で修行するか,なんらかこの瞑想法にたどりついた数少ない瞑想の達人の指導を受けるしか体験できない。パーリ経典にこの瞑想を書いた者がいる。彼はこの瞑想の境地を明確に記す。当時はこの瞑想の方法は大勢が知るものだったのだろう。

 どうするか?
これは通常の瞑想とは異なる。瞑想の空間で,前から二番目の部位にゆく。そこで左の壁を2度叩いたポイントにゆく。そこで,段階を上げるのがコツである。瞑想空間の左側に目がある。図はイメージだ。瞑想空間の一つ目は,普段みえるもの。左の壁を一つ叩くと,違うものがみえる。2度叩くと,さらに別のものが目前に開く。そこで瞑想する。僧侶や中級者は瞑想しながら散歩しよう。経文のいわんとする境地がわかる。

 下記の図はこころの空間だ。はじめに前から2番目の部位にゆく。そこは段階を上げるおなじみの部位である。段階をあげる瞑想をする人はすぐにたどりつける。そこから,左側の壁を2度叩いて,2区画を進む。そして,そこで止まる。この位置に,瞑想の目をおく。あとは,前を見て段階を上げる。
 
buddist_medi2
瞑想空間で左側に寄る。ここの位置に観相の目をおく。あとは段階をひたすら上げると,経典の境地を見る。

九次第定の境地を説明しよう。

 欲界とは
 はじめに欲界にたどりつく。そこは欲望があり,地獄があり,天界まである。これらがここでみえる。欲望とは快楽のこと,地獄とは苦のこと,天界とは仏を見ることだ。それらがすべてみえるのは,段階1だ。そこは5つに分かれる。意識,運動,苦,快(喜び),停止(死)がある。瞑想で「苦」に入ると人生で体験した多くの苦しみ思い出す。快にいたると様々に喜び,満足した過去をみる。そして,停止の領域にゆくと,真っ暗闇な空間に入り,前方の遠くに仏がみえる。まさに欲界は段階1の前半だ。ここを超えると色界に入る。

 三界(wiki)の欲界の説明は秀逸である。「八大地獄から六欲天までの領域であり、『倶舎論』においては「五趣」(5つの生存状態)地獄、餓鬼、畜生、人、天の5種の世界が欲界に属するとされる。」,「いずれの見解においても、地下の世界と、地表の世界と、空中の世界(天界)の最下層とが、欲界に属する」。段階1は「苦」を観じ,地獄がある。「快」では人々の喜びをみて,地表がある。そして,仏をみるところ(停止)に天界がある。瞑想ではこれを区別して,段階を進ませるのはとても難しい。が,昔の僧侶はそれをなしとげ,記録に残した。

 色界とは
 色(物質がみえる)。初禅から四禅までを体験する。段階は1後半-意識と苦,喜び,死 2,肉体的欲求 3,五感 4,知覚 5,運動だ。ここは四智がみえる。1,大円鏡智 2, 平等性智 3, 妙観察智 4, 成所作智。

 大円鏡智
 段階2の瞑想だ。四智は瞑想でみえる世界を言葉に現したものだ。大円鏡智は段階1の前半で見える。大円鏡智という言葉は,現代の明るい鏡が登場する以前,銅鏡など暗い鏡があった頃に作られたものだろう。心の中,目前に大きく丸い黒い平面が現れる。大きな鏡のようだ。なぜ鏡という漢字があてられたのか。研究中。この黒い丸円に現在の自分の姿はうつらない。記憶にあるものがうつるためか。

 平等性智
 段階3 五感の瞑想だ。色界の瞑想は,大きな丸い円が目前に現れる。この外側は明るく,守護霊の色である。人により青,赤,黄色,紺色など違うだろう。この円は大円鏡智ほど暗くなく,夕暮れの室内ほどの明るさで,目前のものを映し出す。この瞑想中に,物を見比べてみよう。時計と置物,人と人。それらを比べると両者は対等だという考えが浮かぶ。物の平等という感覚が得られる。
 これはものを一つずつ比較することができないためだ。一つの物ものを同じように感覚から区別する。すべて同じように。その認識の手続きに差異はない。そのため平等だ。なお,物を見た後に,ものの下をみるとその物についての感覚を観じる。物の上をみると,名前が見える。

 妙観察智
 段階4-知覚の前半の瞑想だ。五感の瞑想だ。大きな丸い円が目前に現れる。中は暗めだ。その中を目でじっくり観察しているという錯覚にとらわれる。目に力が入っている。目で観察しているという気分が高まる。丸い円に意識したものが映るしかけのようだ。妙な心地で観察する。

 観察した物の下をみると,物の名前がみえる。物の上をみると,その物の特徴がみえる。観察したものの情報がわかる。

 成所作智
 段階5 運動の瞑想だ。大きな丸い円が目前に現れる。中は黒い。そこに視野のものが映る。この境地になると、動くものをとらえられる。観察した「運動」の下をみると,運動の特徴がみえる。運動の上をみると,運動の名前がわかる。

 無色界
 空無辺処,識無辺処,無所有処の境地を体験する。段階は6,理性 7,社会 8,空間。見え方が通常と異なる。

 空無辺処
 段階6-理性の瞑想だ。ここにあがると視野全体に青みがかる。この瞑想の状態を保ちながら、目を開けて,晴れた空を見上げると,空一面が青く果てしなく広がる。空が無辺に広がる。そこから境地の名がくる。これは晴れた日に散歩しながら,確かめること。室内で窓から外を眺めても,よく見えない。これを一つを体験するだけでも感動する。このページの瞑想をしたかいがある。

 識無辺処
 段階7-社会の段階にくると感じられる。同じく視野全体がやや青くなる。意識が無限にある処だ。ここに入ると見える景色に,無数の大きな意識が空の向こうまであるような錯覚が起きる。ここで感じる意識は一つずつが段階6-理性の末期のように小さくなく,かなり大きい。これも不思議だ。景色の中に意識があるのではない。意識を司る脳部位がこの瞑想の部位の右側にあって,それを感じるためだ。ここは段階7,社会だ。社会をテーマにする時,人々、動物などの意識がある社会を感じる。それが空気中に観じられる。

 無所有処
 ここは段階8-空間だ。空間を感じる。境地は「いかなるものもそこに存在しない三味の境地」である。これは目をつぶり、感じる。立方体の空間はある。が、中に何もないと感じる。空間はあっても、何も所有していないという境地である。やはりうっすら青く見える。

 これらを正しく説明する書がない。それは日本にこの瞑想が伝わってなかった証だ。

 非想非非想処
 思わないことが何度か続き,何か思う境地だ。何かわからない人が多い。ここは段階9,面で平面をテーマにするとわかると,この境地の謎が解ける。面を意識すると,枠がある。額としよう。額縁の絵を2つ並べる。これを左から右にみると,額の辺,絵,額の辺,額の辺,絵…とつづく。額は何もないから「非」。絵に目が見たもの,思ったものが映るので「想」。それで,非想非非想となる。 

 想受滅
 これは段階10,直線でみえるものだ。右から何か飛んで来て、左にくると消える。線を感じる。何かが始まり,まっすぐ進み,消える。これが視野全体にみえる。発せられたものが,受けて,滅するのが感じられる。これも,瞑想しながら散歩して,空や景色を眺めるとよく感じる。

 直線を意識する。まず直線の始まりがある。そこから線が伸びる。そして,消える。それが大きくみえるのがこの境地だ。

 ここで心所を滅する。この瞑想の部位から右にゆくと,心臓付近を感じる。そこから上にゆくと心臓の感覚が消える。下にゆくと,心臓を強く感じる。上にゆくと心臓の感覚を消せる。つまり,心所を滅することができる。

 仏教ではここより段階の上の説明がない。が,瞑想がうまくなると,さらに上がる。簡単に説明する。以下は全体的に青みがかる。段階のテーマが視野全体にぼんやりとみえる。そこはあまりに暗く,奥の仏がよくみえる。ここより先は目前に仏がみえる。黒と仏は帯にみえるものだ。

 段階11,点
 真っ暗な世界がある。黒に青みがかる景色だ。視界に点滅するものがみえる

 段階12,物体
 ここも真っ暗な世界だ。まっすぐ伸びるものがみえる。直方体が,空中に黒い世界に浮かぶ。ここにくると物に対する感覚があがり、ものの存在感があがる。

 段階13,植物
 真っ暗な世界の先に白いものがみえる。暗い世界に垂れ下がるもの,上に伸びるものがみえる。ここにくると植物をよく意識するようになる。植物の存在感があがる。

 段階14,動物
 白い世界の上半分がみえる。仏の世界を上方に覗く。暗い世界にうさぎサイズの動物がうごめく。動物の存在感があがる。

 段階15,目
 正面に目がみえるらしい。目はたくさん視界にみえる。

 段階16,耳
 灰色の世界がみえる。

 この仏教の瞑想で段階を上げ続けても、ニルバーナ(涅槃)に到達しない。ニルバーナにゆくにはどの段階でもよいが、鏡面より前に進み、観相の目の位置をそこから上げ、おでこの真ん中あたりをみること。白い光のさらに上にあがると、仏がいる。仏は天国にいる。涅槃に達する。

 練習 誘導瞑想
 次の言葉を考える。 「日本製の力で、******を体験させてください。どうぞ。」 そして、瞑想しよう。誘導瞑想を体験できる。***には下記の数字か瞑想したいものの名を入れる。

このブログをネットで見た当日のみ、体験できる。1回につき3-5分。時間を2時間まで指定できる。やめたいと思うとすぐに終わる。例外もある。

欲界
大円鏡智
平等性智 
妙観察智
成所作智
空無辺処
識無辺処
無所有処
非想非非想処
滅受想
段階11 点
段階12 物
段階13 植物
段階14 動物
段階15 涅槃(ニルバーナ)

感じられたか? 慣れたら、自分の瞑想の力で体験しよう。

修正 2022/4/3 , 2023/3/10

コメントを書いてください。

では、また。