仏様が瞑想中に、自然の木々、動物、空、地面とみえるものすべてと一体化したというような話は、よく聞く。瞑想で宇宙と一体化することを喧伝する者たちもいる。すべてのものと一体化する瞑想。
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自己との一体化
 普段、人は自分の肉体と一体化する。人は生まれてから肉体は自分のものだ。自分の体は自分と思っている。手が傷つくと痛いと感じ、自分が怪我したように思う。が、肉体以外は外部であり、「他」である。それら体の外にある机、椅子、家、他人を自分とは思っていない。それら外部世界と一体化するには、どうするのか?

世界と一体化する - 一体化とは脳の錯覚である
 自分の肉体や自分の考えを自己と思っている。人は自分の肉体と一体化している。その肉体がなくなると、脳は何を自己としたらよいかわからなくなる。すると、脳は見えているもの(部屋、道路、壁、木々、自然、空、地面、家具、天井、床、人)を自己とみなす。脳はそういう錯覚をするようだ。これが人が外部世界と一体化する境地になる理屈だ。人はうまく瞑想すると、そういう森羅万象と一体化した錯覚に陥る。人間は、外の世界に感覚神経がつながっていないので、現実に世界と一体化することはない。そう思うだけ。そういう境地になるだけ。

一体化の勘違い--自分の意識が広がるのではない
 多くの人は万物と一体化するとはこういうことだと考えるだろう。自分の意識を体の外の世界に広げる。そして、自分の意識が巨大化して、浸透して、空間を満たし、壁やいす、床、天井の板は自分の一部となっている。自分が物質を透過する巨大なものとなっている。そして、空間と一体化すると。が、真実はそのように一体化するのではない。単に、脳の錯覚である。

世界と一体化する瞑想の仕方

1, 無我になる

 まずは無我になる。自分だけを消す。注意、外の世界は消さないこと。
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心の中は真っ暗になった。この状態を保ち、次のステップに。

2, 欲求と五感を消す
 肉体を消したあとに周囲を見る。その状態で瞑想して、自分の肉体にある食欲、渇き、呼吸したい気持ち、排便の感覚、排尿の感覚を消す。

食欲を消すと、周囲を見渡す。周囲の物々が食い物のように感じられたら成功。
渇き、飲みたい気持ちを消して、見渡す。壁や床、物が液体のように感じたらよし。
呼吸したい気持ちを消して、見回る。空気が自分のように感じられたらOK。
排便、排尿の感覚についてもなくしてみる。

 五感を一つずつ消してみよう。

視覚(みえている感覚、目ではない)を消すと、周囲の中に自分の目があるように感じられる
臭覚(鼻ではない)をなくすと、周囲のどこでも鼻があるように、感じられる。
味覚を消すと、空間のどこでも味を感じられる。
触覚を消すと、みえる物を触ると、自分が触られたように感じる。

そうなったと思うこと。慣れてくるとすぐに上達する。

周囲の壁や机、ベッド、本棚、窓、山が痛み、臭い、暑さなどを感じる境地となる。しかし、これも錯覚である。自分の体の外にあるもの、石、木、地面には何も感じない。

 そのようにして、「生理的欲求(食欲、渇き、呼吸、排泄、排尿)」、「五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)」、「知覚(言葉、分類、想像世界)」、「運動(行動)」を個別に消してみよう。それを一つするたびに、目を開けて世界を見る。すると、消した感覚や認識を外世界に感じるようになる。世界との一体化が増す。

これは訓練して、一体化の度合いを高められる。肉体を消すだけでは一体感は十分に得られない。自分の中にある1-14段階のテーマ(対象)を消すことが大事だ。
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注意 1- 世界を消してはならない。
 無我になる瞑想では肉体を消して、無我になった後に世界を消した。この瞑想では、世界(周囲のもの)を消し去ると、世界と一体化できない。世界は消さないで残す。

3, 万物と一体化する
 さらに、自分の中にあるもの-思考と社会、空間、絵やテレビを見る認知、音・言葉・音楽の認識、点滅の認識、空気、物、植物、動物などの認識を消す。自分の中にある段階5-14の認識を消す。

 すると、完全に近い無我になる。そうして、世界を眺めて、世界こそが自分、世界は自分の体と思うこと。自分の中にそれら感覚や認知を感じないが、外世界に感じられるようになる。外世界との一体感が増す。これを何度も重ねると、慣れ、一体化を強く感じる。

 まとめ
 何かと一体化するこつ。瞑想して、心の中にある感覚や認識を消す。そして、周囲を見て、それら消したものを感じること。すると、それと一体化する。これは訓練して高める。心にあるものを消すと、外世界と一体化できる。

 外世界のものを消すと、逆に心の中に取り込まれる。それは外世界との一体化ではない。これは外のものを心に取り込むこつである。

 ☆☆☆ 世界と一体化した後に、それを心(胸の中)に取り込む法
 自分が一体化したいものを消すと考える。すると、心の中に取り込まれる。無我の瞑想では、自分を消した。ここでは、外部にある一体化したいものを消してみる。それは消えてなくなったと思う。そうイメージする。

 すると、不思議なことに消したものが胸の中に入る。六道輪廻の瞑想では、胸の中に記憶が鮮明に見えた。その現象である。消したものは記憶され、胸の中にあるように感じる。視界からは消えたので見えない。その分、胸の中にあるものは、強く感じられる。それらを自分の中に取り込んだように感じられる。

 実際は、それを胸の中に取り込んだのではない。その記憶が胸の中にあると感じるだけだ。しかし、これは面白い体験となる。

宇宙と一体化する
 宇宙を感じるのは屋外でやろう。家の中では感じにくい。宇宙という概念は、段階4以降でもつ。段階3まではみえる世界が「全て」となる。目を開けて、一体化する瞑想にかなり慣れた後に、心の中にある宇宙(写真集の宇宙空間や夜空の宇宙などのイメージ)を消す。すると、体の外にある宇宙と一体化できる。

注意 - 外にある実際の宇宙を消すというイメージをするのではない。外世界の宇宙を消すと想像すると、胸の中に宇宙が取り込まれる。

 特に、宇宙を意識するのは空気、固体、植物、動物をテーマにする段階11から14だ。それら段階では対象がゆっくりと拡大する。はじめは人間、そして複数の人、木々、町、国土と広がり、地球、太陽系、銀河系、宇宙と広がる。関心が宇宙に広がった時に、この瞑想をするとより宇宙と一体化できるだろう。

宇宙意識と一体化する
 これも家の外でする瞑想だ。段階6(社会)の末期に関心は宇宙に広がる。この時に、心の中にある宇宙を消すと、宇宙社会(諸惑星の文明)の意識を感じ取れるような気分になれる。

注意 -消すのは心の中にある宇宙だ。外の宇宙を消すと、宇宙が心に取り込まれ、心の中に宇宙を感じる。それは一体化ではない。

特に宇宙を感じやすい段階11-14だが、11-13は空気、物体、植物で意識はもたない。段階14の動物をテーマにした時に、動物の意識を感じ、アニミズムに近い感覚となる。この末期に関心が宇宙になる。その時に心の中の宇宙を消すと、宇宙意識と一体化する。

間違っても、外の宇宙を消さないこと。それは宇宙を心の中に感じる瞑想である。この宇宙意識は語りかけてこない。一体化しても、そもそも脳の錯覚だ。実際に霊と人が一体化して、乗り移るような類ではない。

仏(守護霊)と一体化する
 涅槃の瞑想をすると、仏(守護霊)が目前にみえる。その時に、心の中にその守護霊はまったく存在しないとイメージする。すると、自分が仏に一体化できる。一体化ではないが、守護霊が存在しないと思うと、仏が胸の真ん中にみえるようになる。

涅槃と一体化する
 また仏の周囲にある涅槃(天国)も消してみよう。心の中にあった天国の世界を消す。すると、天国の世界と自分が一体化する。

 涅槃の瞑想でみえる天国を消すと、胸の中に仏と周囲の天国がみえるようになる。これはこれで、楽しい。

 仏の世界の宇宙、仏の世界の宇宙意識と一体化してみよう。心の中にあるそれらを消す。すると、涅槃の世界と自分は一体化したような気持ちになれる。まさに仏や天国と一体化した境地である。これは何度も続けて、慣れることが肝要だ。

 涅槃の瞑想で見えた仏の世界、仏の世界の宇宙意識を消してみよう。これをすると、胸(心)に仏の世界が入る。すると自分はそれらを取り込んだので、離れることがないと感じる。が、実際に胸の中にそれらがあるわけではなく、その記憶を強く感じられるようになっただけだ。これを毎日すると、常に、胸の中に天国があると感じられ、幸福な気分になれる。

空と一体化すると、大空に浮かぶ巨大な自己を感じられる
 家の外で空を見ながら、瞑想をすること。無になる。空を見上げて、空を消してみる。すると、空は胸の中にあるように感じられる。そのまま空を見ると、真後ろの空に巨大な自分がいるように感じられる。実際に、空の中に自分がいるわけではない。が、そう感じる。

 瞑想して、心の中で自分が後ろを向いたとイメージする。そして、空を見上げてみよう。正面の上空に、後ろを向いた巨大な自分が感じられる。なお、この自分が前を見るとイメージすると、空に浮かぶ自分は、私自身の後ろ上の空にさっと移動する。こういうのは面白く、楽しい。瞑想の不思議である。

 孫悟空のドラマや映画では、大きな大きな仏様が空にいる。それはこの瞑想をした時の景色とわかる。宇宙と一体化する瞑想で同じことができる。

一体感を利用した精神の治療

 子供が他人と共感しすぎる場合
 彼は、他人や動物を自分のように強く感じて、共感できるのは、我流で周囲と一体化することができるようになったためだ。この症状を治すには、本人の肉体がそこにあると強く自覚させることが大切だ。

 もうひとつの治療法は、そういう周囲のものが消えてなくなることを想像させることだ。すると、一体化とは逆のことが起きる。それら周囲のものが、胸の中に小さく収まったように感じられる。すると自分の存在感を強く感じられるようになる。

 他人の気持ちをよく理解する時には
 まずは自分を消す(無我になる)。そして、心の中にいる他人を消すとイメージすると、他人とほどよく一体化したような気持ちになれる。またみえる他人を消してみると、他人が胸の中に入る。すると、自分は強くなれる。

彼と一体化できた、と女性が言った時には何が起きたのか?
 僧侶はここを読むべからず。何かと一体化する理屈がわかれば、解ける。肉体関係はここでは考えない。恋人と一体化する気分になるには、まずは自分を消すという瞑想をして、次に心の中にいる彼もしくは彼女を消す。すると、彼・彼女と一体化した錯覚に陥る。女性はそういう瞑想をしたようである。

誘導瞑想
 次の言葉を考える。 「日本製の力で、******を体験させてください。どうぞ。」 そして、瞑想しよう。誘導瞑想を体験できる。***には下記の数字か瞑想したいものの名を入れる。

このブログをネットで見た当日のみ、体験できる。1回につき3-5分。時間を2時間まで指定できる。やめたいと思うとすぐに終わる。例外もある。

1, 無我になる。「自分を消してください。」と思う。

2, 「欲求と五感を消して」と思う。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。すると、周囲のものが痛みを感じたりするように思えてくる。

3,「宇宙と一体化したい」と思う。無我になり、段階12(物体)の末期にゆき、心の中の硬質な宇宙を消す。すると、宇宙と一体化できる。この状態で、外を散策して、自分の境地を確かめよう。

4,「宇宙意識と一体化したい」と思う。無我になり、段階14(動物)にあがり、心の中の意識ある宇宙を消す。すると宇宙意識と一体化できる。外を歩いてみて、一体化した宇宙を感じよう。

5,「仏と一体化したい」、「仏を胸に取り込みたい」と思う。無我になり、仏(守護霊)を見る。心の中の仏を消すと、仏と一体化する。みえている仏を消すと、仏は胸の中にいる。

6,「涅槃を胸に取り込みたい」と思う。無我になり、涅槃を見る。仏の周囲の涅槃(天国)の世界を消すと、胸の中に天国がある。

7,「空と一体化したい」と思う。無我になり、空を消す。その後、空を見上げると、上空の後ろに大きな自分がいると感じられる。

では、また

2020/11/6 修正